D・A・M・U 怖い話

どこの地域にもあるのが、ダム。そのダムも、公園になっている所は、数多くありますよね。
私自身も、この写真にあるダム公園に、小学校の頃によく行った覚えがあります。炊事遠足をしたり、徒歩で遠足に行く場所のひとつでした。
さらに、このダム公園は、春になれば「桜」、秋になれば「紅葉」の名所にもなります。市民には、憩いの場として、親しまれています。
このダムは、大正12年に完成した日本で初めての「バットレスダム」(扶壁式中空鉄筋コンクリートダム)で、昭和59年度に改修工事を完了。それから、約23年、現在もなお現役で活躍するダムのひとつです。
 そんなダムで起こった奇妙な話を紹介します。

--ダム--  KOWAI KOWAI*

 このダム公園は、子供の頃から、近くにあったこともあって、よく行く場所のひとつで、小学校の遠足にも使われていました。
ただ、そのダムの前で、行くたびに、必ず集合写真を撮るのですが、いつもおかしな場所に、人影がうつりこんでいたり、オーブのような丸い光がうつるのです。
集合写真ができあがってくるなり、子供達は大騒ぎ。ココに人影がみえる!これって、心霊写真なんじゃない?と。
この空洞になっている1番上に、よく人影がうつるんです。そこは、人が登ったりすることができないはずなのに・・・。

実は、このダムは、両側の通路から、ダムの真上につながるんです。そこから見る景色は、また違います。
でも、このダムの上から、ダム公園のほうへ写真は撮ることが多いのですが、水がたまっている裏側の写真を撮ることはしないんです。
「撮ってはいけない」というわけではないのですが、なぜか、「撮りたい」と思えない。確かに、何もないし、水がたまっているだけなんですがね。
 でも、1度、その水の黒い底に、嫌な感覚をうけたことがあるのも事実です。

 このダム公園のさらに上流には、もっと整備された、大きなダム公園があります。そのダムの真上にも登ることはできるのですが、歩いては行けず、車で登っていきます。ただ、先ほどのダム公園とは違い、その真上の通路は、立ち入り禁止になっています。いつも金網で覆われているので、入ったことがありませんでした。

 しかし、1度だけ、その金網の扉が開かれていたことがあるんです。
他に誰か人がいたのか?というと・・・どうだったのか、わからないんです。
 いつも真上には行けないこともあって、その下のダム公園で、散歩をしていると、行けないはずのダムの真上に、人がいるのが見えたんです。
「あれ?人がいる??」
そこは、立ち入り禁止の場所であって、誰かがいることは、ありえないんです。
だから、確かめるべく、車で登ったんです。
そこは、一方通行のようなところで、ダムの真上から出るには、その狭い道路を下るか?それか、さらに山の中の道路を通るかしかありません。
しかし、その場所に着くと、車がいたような気配は、まったくなく、いつもは閉まっているはずの金網の扉が開いているのです。
誰かいるのかな?? そう思って声をかけてみます。
「すみませーん」
返事はなし。

悩みつつも、開いている扉の中へ入ってみることにしました。
中を進んでいくと、そこには、もうひとつの金網の扉があります。
開けるべきか? どうするか? 
結局、その扉のカギも開いていることに気づいたので、それも開けて中へと入ってみることに。

そして、人影があったほうへと、進んでいきます。
 誰もいない。
それに、下のダム公園のように、両側から上がれるわけではなく、一方通行なんです。奥のほうは行き止まりになっていました。
「おかしいなー、確かに人影が見えた気がしたんだけど・・・」
真上から、ダム公園を見下ろしてみると、人が小さく見え、車がミニカーのように見えます。

ふと、後ろで何かの気配がしたので、振り向きます。

「なに!?」
後ろには、何もありませんでした。
ただ・・・ダムの水が、太陽の光に反射して、キラキラとしているだけ。
「うーん。何でもなかったのかなー。変なのー。」

それから、数分、人影があったことすら忘れて、ダム公園を見下ろしていると・・・

「すみませーん!」と、来た方向から声がするのです。

「む??呼ばれてる??」

通路の入り口まで行くと、先ほどは、カギがかかっていなかった金網の扉がしまっているのです。
「え・・?? なんで??」
先ほどは、カギは、確かに開いていて、扉を開けて中へ入っていったのです。それから、何分も経っていないはず。
しかし、腕時計をみると、下で人影が見えた時間から、すでに1時間を超えているのです。
「あれ????」
何がなんだかわからないのだけど、とりあえず、その金網の扉をよじ登って、そこから脱出。
そして、もうひとつの金網の扉へ行くと、なぜか?そこのカギも閉まっています。
「ちょっと!なんなの??」
その金網越しに、先ほど声をかけた人がいました。

「すみません。ダムの下から人影が見えたものですから。」
「あ・・・はい」
「ココ立ち入り禁止でしたよね?どうやって入ったんですか?」
「実は、私がそこに入るまでは、カギ開いてたので、出入りできたんですけどね・・・」
「カギが開いてたんですか?」
「ええ・・・開いてたはずなんですよ。今、閉まってますけど」
「それよりも、あそこに2時間以上もいるから、何かあったんじゃないかと思って」
「え?? 2時間??」
「はい。2時間前に、人影があるなーと思って、それから、その1時間後にもまだあるなーと」
「私が、ココに来たのは、さっきなんですよ?30分くらい前」
「30分前ですか?」
「でも、さっき声かけられて、時計見たら、1時間経ってたんです」
「じゃあ、2時間前にいたのは?」
「その時間、私も下から人影を見たんです」
「ってことは、別の人?」
「確かめるのに、ここに来たんですけど、誰もいなくて、カギだけ開いていたんで、入ってしまったってわけなんです」
「不思議ですね」
「来るとき、誰かとすれ違ったりしませんでした?」
「いえ、誰ともすれ違ってはいないです」
「なんだったんでしょうね」
「なぞですねー」

結局、あの人影がなんだったのか?まったくわかりません。
そして、あの扉のカギも、開いていたのは、あの時だけ。

もしかすると、何かがいるのかもしれません。
人には見えない、何かが・・・。

あの時、誰かに声をかけられていなかったら・・・・
背中をおされて、ダムの真下に落ちていた可能性もないわけではない。

実は、ダムって、色々な霊が浮遊しているのかもしれません。
普通の人には、見えないだけで・・・。




夜のダム公園

夜になると、昼間の雰囲気とは、まったく違います。
人の気配のないダム公園の駐車場に車の窓をあけ、停めてた時のことです。話をしていると、外から、水の音ではなく、獣の声でもない、何か人の声みたいなものが聞こえてきたような気がして、話をするのをやめました。
すると、虫の声が響き渡るだけで、人の声は、聞こえてこないのです。気のせいかな?と思い、また話をしていると、やはり同じように、人の声が聞こえるんです。
同じように、耳を澄ませて聞いてみるけれど、声は聞こえません。
薄気味が悪いこともあり、その場から、立ち去ろうと山を下っていくと、別の車とすれ違ったのです。
しかし、しばらくすると、そのすれ違ったはずの車は、私の車の真後ろを走っているのです。
しかも・・・車をあおるように、どんどん近づいてきます。
あまりにも近いので、車のスピードを上げると、後ろの車もまた、同じようにスピードをあげてくるんです。
ダムから下る道路は、急カーブが多く、あまりスピードは出せません。
そこで、後ろにいる車を先に行かせればいいんだ!と思い、左のウィンカーをあげ、道路の左側に寄り、車を徐行させ、後ろの車を先に行かせようと、サイドミラーを見ると、車の姿はなく、ただ、車のライトのようなだけが、私達の横を通過していったのです。
 車だと思っていたのは・・・・車ではなく、人魂だったのかもしれない。