++港++ M・I・N・A・T・O 怖い話
私は、彼と友達と3人で・・・真夜中に、市内をドライブしていました。
あちこち、走りすぎたせいか・・・運転手の友達が、
「少し、横になるよ」
と・・・車をある築港に止めたのです。
薄暗い明かりの下に、何棟もの倉庫が並び、止められた船が、海の上でユラユラとゆれています。
その倉庫と倉庫の間に、車は止められました。
月明かりの下、黒い波が・・・うごめいています。
そのまま私たちは、深い・・・・眠りについたのです。
「・・・・起きろ!・・・・おい!」
そこには、彼がいました。少し・・・あせっているように見えます。
「どうしたの?」
「この車・・・・動いてないか?・・・・・」
「え・・・・」
外の景色を比べてみると、先ほどの場所よりも・・・・
確かに・・・・少しづつではあるけれど・・・車が動いているように感じました。
「サイドブレーキかけてるよね?」
「うん。俺も何度も確かめた・・・・」
「じゃあ・・・どうして、動いているの・・・・」
彼は、友達を起こしているのですが、起きる気配はありません。
しかし・・・車は、確実に・・・海へと前進しているのです。
「このままだと、海に落ちてしまう・・・・」
「車を出よう!」
そういって・・・彼は、車のドアを開けようとしました。
カギもかかっていないはずのドアは、ピクリとも動かない。
「どうして・・・開かないんだよ!」
何度も、何度もドアを開けようとするのですが・・・車のドアは、まったく開こうとしない。
その時です・・・・・・・。
「キャー・・・・・」
窓の外に・・・・無数の手が・・・・。
車を囲むように、窓ガラスすべてが・・・・青白い手のひらで・・・・おおわれていました。
少し開けていた窓を閉め・・・・大急ぎで、ドアにカギをかけました。
しかし・・・今にもその窓を割って・・・・私たちを捕まえに来るのではないかと・・・・。
「イヤー・・・・・・・・・」
そして・・・・その無数の手は・・・・乗っている車を・・・・海へ、海へと引っ張っていくのです。
後部座席で、小さく震えながら・・・・私は、助けを求めます。
「助けて・・・・助けて・・・・」
車は・・・引っ張られているせいか・・・・先ほどよりも早く、海に引きづられているような気がします。
このままだと・・・・海に引きづりこまれる。
彼は・・・・また大声で、友達を起こします。
何度も、何度も眠っている友達を起こします。
しかし、友達は、やはり起きることはなく・・・・。
車のスピードは・・・確実に増しています。ズルズルと・・・・・確実に海へと・・・・。
この手を振り払って、外に出ることもできず・・・車の中にいる私たちは、身動きがとれません。
そして・・・フロントガラスの手が消えた・・・・・と思った瞬間・・・・目の前に・・・・・海が!
「キャー・・・・・・・・落ちる・・・・・・」
その海に・・・・見えたのは・・・・今まで・・・・車に張り付いていた無数の手。
私たちは・・・・・海にいる死者に、引き寄せられているのです。
もう・・・・ダメだ・・・・・・と思った瞬間でした。
友達が・・・・目を覚ましたのです。
「ブレーキ!!ブレーキ!踏んで!!!!」
「早く・・・ブレーキ!」
「どうしたんだよ?」
「このままだと・・・・海に、落ちる!!」
「動いてるのよ。車が!」
「え・・・・・・・」
「早く!ブレーキ!」
「なぁ・・・・・海に、落ちるわけないだろ?」
「え・・・・」
「よく見てみろよ。車は動いてないし、海に落ちそうにもなっていない」
「ウソ・・・だって・・・そこに・・・今」
「どうしたんだよ?おまえら?」
そう・・・・そこは、もとの車のあった場所でした。
白い無数の手も消え・・・・ただ・・・暗い月明かりの下に、海が波うっているだけなのです。
「え・・・・・・・」
「俺たち、海に引き寄せられていたんだ」
今まで、あった出来事を友達に話すと・・・
「お前、起こしたのは、今の1回だけじゃないのか?」
「何度も起こしたよ。でも、目を覚まさなかった」
私たちは、海で亡くなった死者に、道連れにされかけてた。
友達が目覚めていなかったら・・・・私たちはいったい・・・・どうなっていたのだろう。
やはり・・・・海の死者に・・・・引きづりこまれ・・・・永遠の死をつきつけられたのかもしれない。
これは、夢だったんだろうか・・・・。
いや・・・・夢ではなく・・・・本当のことだという証拠に・・・・窓ガラスには、しっかりと手の跡が・・・・・・。