O・N・N・N・A 怖い話

女性は、男性に比べると、思念が強い方が多いようです。そのため、男性よりも女性の幽霊のほうが、よく見かけると思いませんか?
あの世に行ってもなお、その人への思いが強かったり、その場所への思いが強く、そのままいついてしまうことも。さらには、なくなっているわけではないのに、生霊となってしまうこともあるんです。なくなっている幽霊よりも、はるかに生きている幽霊のほうが怖いと言われています。
幽霊を見るよりも1番怖いのは、今そばにいる、生身の女性なのかもしれませんけどね。

--女--  KOWAI KOWAI*

私たちは3人で、いつもよりも少し遠くへ夜のドライブに来ていた。
たまには、海岸線をとばしてみようかということになった。
このときは、もともと男2人で行く予定だったらしいのだが、
ヒマな私も連れて行ってもらえることになったのだ。
この時期、私は、仕事もしないで昼夜の逆転生活をしていた頃だ。

山道を入り、住んでいる町の裏側にある海岸線の通りへと車を走らせる。
いつもは、街をうろついたり、湖畔を走ったりすることが多い。
でも、今回は久しぶりの海で、私は興奮していた。

そして、海のみえる海岸線に出た。
月夜の下で、黒い波が砂浜に押し寄せている。
車の窓を開けると潮の香りがする。
心地よい風に吹かれながら、ゆるやかなカーブを走っていく。

私は、運転席の後ろに座っていた。風を受けながら、フッと・・・運転席を見る。
「あ・・・」
「ん?どうかしたか?」
「あのね・・・これから先の運転に気をつけてくれる?」
「うん。なんか、あったのか?」
「女の人が・・・見えた」
「どこに?」
「ハンドルの横のパネルに、女の人が・・・・」
「わかった・・・気をつけるよ」

友達の握っているハンドルの横のパネルに、女の人がうつった。
不思議なことに、怖いとは、感じなかった。
私が、他の人に見えないものを見てしまうときは、何かが起こる暗示。
彼らもそれを知っていた。
だから、驚くこともなく、ただ私の言葉を聞き入れる。
髪の長い女の人。赤い衣装を身につけていた。
女の人というよりも、人形にちかいかもしれない。
ただ、こちらを見つめているだけだった。
しかし、その女の人は、すぐに消えた。

こんな時の私は、みょうにカンが冴える。
嫌な予感がする。
だから、彼らに話した。


それからは、船のある港によって休憩したり、のんびりと海岸線のドライブを楽しんでいた。
「今日のお前の予感は、はずれかもな」
「何も起こらないし」
「いや・・・でも、きっと何かあるから、気をつけて」
「わかってるよ」
「じゃあ、そろそろ帰ることにするか」
「そんな風に言われたら、楽しむものも楽しめないしな」
「ごめん」
「いいって」
「何か、あってからじゃ遅いしな」
「そうだな」
「うん」


あの女の人を見てから、何時間が経ったのだろうか?だんだん、そのことを忘れかけていた。
帰り道は、みょうに2人とも、口数が減っている。



そして、それからすぐ!!また! あの女の人が現れたのだ!!
「ねぇ!また・・・また出たの!」

キキーッ・・・・・・・・・・

車のブレーキ音!
「そこに・・・女の人が、立ってたよな?」
「え・・・」
「俺・・・その人よけようとして・・・」
「私が、見たのは車の中でだよ」
「じゃあ・・・俺が見たのは?」

あたりを見回すと・・・そこには、何も見えなかった。
ただ、あったのは・・・  私たちの乗っているブレーキのあと。
そして、ちょうどそこをよけるように・・・・海に落ちる岸壁があった。
ガードレールが、切れていて・・・そのまま、それをよけていなかったら・・・
海に、まっさかさまに・・・落ちていた。

「あぶなかった!!」
「実は・・・ 俺・・・  眠っていた」
「え・・・」
「お前に、起こされなかったら・・・きっと、この下に・・・・」
「だから、慌ててブレーキ踏んだのか?」
「いや・・・・目を開けたら、そこに赤い服を着た女の人が立っていて、
ヤバイと思ってハンドルを切って・・・ブレーキ踏んだんだ」
「・・・・でも・・・・よかったね。落ちなくて」
「そうだな」
「あの人が、現れなかったら・・・私たち、生きていなかったのかもしれないね」
「やっぱり、お前のカンは・・・怖いよ!」
「これからは、気をつけようね」
「そうだな」


あの女の人は、私たちに、警告を発していたのだ。
あの女の人が、いなければ・・・きっと、私たちは、ここにはいなかったと思う。
あれは・・・私の守護霊なのかな。
ここでなくなった人ならば、きっと間違いなく、谷底に導かれていたのではないだろうか?




虫の知らせ

うちでは15年飼っていた猫がいた。
普段は、そばにいることが多く、いない時は寝ているような猫だった。
でも、老衰しているせいか、ある時、いないことにすごく気になって探しに行った。
自分でもわからないが、探さなければならない衝動にかられたのだ。
猫の鳴き声が聞こえたような気もする。 そして、見つけた!
猫は嘔吐し、泡を吹き、倒れていた。
あわてて猫を抱き上げ、家族のいる元へ。
しかし、それから30分も経たないうちに、家族に看取られて、天国へと旅立った。
あの時の衝動は・・・虫の知らせだったのかもしれない。