H・O・H・O・E・M・I 怖い話
霊は、顔がわからないことが多い。なぜなら、はっきりと見えないことが原因である。
では、なぜ?霊が悲しんだ顔をしているとか、怒っているとか、微笑んでいるとわかるのか?
それは、その霊体の気迫が関係してくる。霊に近づいてみるとわかるのだが、霊の顔が見えなくても、霊の感情というものがわかると思う。
ただ・・・それは、もしかすると私自身だけが、そう感じるのかもしれない。
その霊の感情が、頭の中になだれ込んでくる。
自然とその感覚から、顔の表情までもわかったような気がするのだ。
それこそ、心霊写真と同じ感覚で、3つの点があるだけで、人の顔に見えてしまうことと変わらない。
顔の表情がもともとないのだとしても、あるように感じてしまうのではないだろうか?
--微笑み-- KOWAI KOWAI*
これは、私が以前働いていた会社であった話です。
その日は、いつものように出勤して、朝から事務所の掃除をしていました。
いらない書類を整理していると、まだ、誰もいないはずの事務所に、何かの気配をふと感じたのです。
「あれ・・・・?」
しかし・・・振り返ってみても、そこには誰もいない。きっと、気のせいだろうと、その時は思っていたのです。
掃除も終わり、朝の仕事をこなします。それは、いつもと変わらない光景でした。
昼間は、電話の鳴る音や声で、小さな音は、かき消されます。
なにかの気配を感じることはあっても、振り返る余裕すらないのです。
だから・・・気にしていなかった。その気配には、気づいてはいたけれど・・・。
それから・・・何日が過ぎたことでしょう。
忙しさから、開放され・・・また、あの気配に気づいてしまったんです。
そして、その気配の先に・・・・
彼がいたんです。
それは・・・はっきりとしていました。
人間のままの姿。
最初は、新人さんかしら?くらいに感じていたのですが・・・
その席は、社長が座る席であって・・・
他の誰かが座ることはないのです。
社長は、ほとんど、社内にいることはありません。
外勤してるほうが多く、その席は、書類の山になっているだけ。
そこに 座っていたのが・・・彼なんです。
最初は、姿を見ただけで・・・背筋がゾクゾクしました。
見えてしまってはいけないものが、こうやって、はっきりと見えてしまうのですから。
目を合わせるなんて・・・できなかった。
彼は、朝・昼・夜、関係なくそこにいるんです。
ただ、決まって・・・見るときというのが、私自身が疲れている日。
他の人には、まったく見えていないんですよね・・・・・。
でも、そんな毎日を過ごしていても、来るときは、来てしまったのです。
・・・・彼と目が合ってしまったのです。
彼と目が合った瞬間・・・彼は、私に微笑んだのです。
まるで・・・天使でも舞い降りたように・・・・
ものすごく、あたたかい目で、微笑むんです。
それから・・・彼をみても、怖くなくなりました。実際に、彼は、悪い霊ではないからです。
彼は、ただ・・・その会社を見守り、働いている社員を見つめて、微笑んでいるだけなのです。
その理由は、私にもわからないけれど、彼が見つめているのは、働いている私達。
彼の目的って、なんだったのでしょうか?
でも、今になって思うんです。
あれは・・・社長自身の霊。守護霊的存在だったんじゃないかと。
社員を大事にするという方針だけは、今もなお残っているようです。
でも、忙しすぎて、会社にいることが少ない。
その念が・・・いつしか、そのような霊となって・・・彼らを見つめてきたのではないかと。
霊には・・・人間と同じようにいろんなタイプがいる。
その中でも、1番怖いのは、生霊だと言うが・・・1番想いの強いあたたかい霊もまた生霊なのかもしれません。