D・O・U・S・O・U・K・A・I 怖い話
中学や高校の同窓会。10年後や20年後と、自分達が成長してから、同級生と集まる。
好きだったあの人は、今どうなったのだろう?と同窓会に出席してみたら、実は、普通のおじさんになってたり、子沢山のふっくらしたお母さんになっていたり。
現実を知らないままのほうがよかったな・・・なんて思うこともあるかもしれません。逆に、こんな子、同じクラスにいた??というくらい、キレイになってたり、かっこよくなってたりする人も。何が起こるか?わからない。想像していたよりも、ずっとずっと、楽しい時間なのかもしれません。
だからこそ、別の誰かが、そこにいたとしても、いたんだな〜って思ったりすることって、けっこう多いんではないかな?と思います。
--同窓会-- KOWAI KOWAI*
35歳となる年齢になる時に、中学の同級生の一人から、メールが来ました。内容は、同窓会やるので、来てね〜と。
気がつけば、中学を卒業して、もう20年。あっという間でした。とてもいい機会だったので、同窓会に出ることにしました。
本町のタイ料理の店で、7時に現地集合とのこと、誰が来るのか?知らされていません。メールをくれた同級生も来るとのこと。ちょっと早すぎたかな?と20分も前に店に到着。予約が入っていたので、席に案内されると、そこには、すでに数人の同級生が。
「あ!!お久しぶり〜!」
「久しぶり!変わってないな〜お前」
「そっちは、変わったね〜すっかり おじさんじゃないの!!」
「まあ、いろいろあってな〜」
なんて・・・挨拶を交わしたりしてるうちに、何人かづつ、同級生が集まって来ました。
それから、遅れてくるという人をのぞいて、みんなで挨拶。結婚して、子供がいるとか、どこどこで働いてるから、声かけてね〜とか、20人くらいだったのかな?声かけた人全員が来たってわけでもなく、欠席だって言ってたけど、急遽参加になった子とか。
30代も後半だからか?結婚してる人も多いし、逆に離婚しちゃったっていう人も。
食事をしながら、飲みつつ、中学時代の思い出話をしたり、実は誰々のこと好きだったんだよな〜なんて、裏話も。車で来ている人が少ないせいか、大宴会状態。同窓会って、楽しいものなんだな〜なんて、思いつつも、たくさんはしゃいでいました。
そんな中、ただ、席の端で 座っているだけの女性がいました。周りの話を聞きつつ、大笑いするわけでもなく、うなづいたりしている。なんとなく気になったものの、本人には話しかけづらい雰囲気があったので、隣にいた人に、聞いてみると・・・
「あの端に座ってる 黒い服で来てる彼女って誰??」
「あれ、ほら! 中学校の3学期に転校してきた子じゃない?」
転校してきてすぐ、卒業って感じだったから、あんまり接したことなかったんだな〜と思って、気にしないコトに。
そのうち、場も盛り上がってきて、数名は帰ったりしたものの、2次会に行こうということに。
2次会は、カラオケ店。
到着するなり、マイクを持ったら離さない人、びっくりするくらい歌が上手い人などなど・・・。でも、同級生だからでしょうね?なんとなく、安心感みたいなものがあるみたい。背伸びする必要もないし、ありのままの自分でいられるような、そんな感じ。
彼女は、また 隅のほうで、手拍子うったりして、微笑んでいる感じ。楽しんでいるんだろうな〜とは思うけど、歌ってないよな??と。
そこで思い切って 声をかけてみることに。
「ねえ、歌わないの??」
「うん、聞いてるだけで 楽しいから」
「あれ??そういえば、何も食べてないし、飲んでいないけど・・・いいの??」
「うん。みんなに会えただけで、ホントうれしいの。」
歌は苦手なのかな?とか、食べられないものばっかりだったのかな?とか、なんだか、気になって仕方なくなって、すっかり酔いも覚めちゃって・・・。
転校してきたっていうのに、いっぱいしゃべったりできなくって、この場所にいても、話す友達もいないんだよねー。なんて思ってたら、同窓会がお開きになるとか。
周りが携帯のアドレス交換をしているのを見て、私も!彼女と交換しよう! って思って、交換することに。これから 仲良くしていけばいいんだよね!同級生なんだから!
お開きになったのは、23時。まだまだ 3次会やるぞ〜!なんていう人は、またそのまま、3次会へと行ったみたいですが、私は帰宅することに。彼女ももう帰らなきゃいけないからということで、そこでお別れ。
帰り道、なにげなく、彼女にメール。
「今日は、お疲れ様〜♪
今度は、昼間でもどこかに行こう!また連絡するね〜!
おやすみ〜(^O^)/」
すると それから すぐにメールの返信。
「 今日は、同窓会 とても楽しかったです。
話しかけてくれて、ありがとう。
おやすみなさい。」
来週の週末、会社のお休みがとれることになって、ランチでも一緒に食べに行こうかな?と思って、メールをしてみた・・・。
すると、メールではなく、電話がかかってきた。
「もしもし??」
電話の先で話しているのは、彼女ではない。
「もしもし、あの?どちら様ですか?」
電話をかけてきたのは、あの子の母親。
なぜ?電話をかけてきたのか?というと・・・
彼女は、数日前、突然の事故でなくなったと・・・。
メールを見て、彼女がなくなったことを知らせなくてはと電話をしたようなのだ。
慌てて、彼女の家に行くと・・・すべて葬儀も終わった後だった。
仏壇には、彼女の遺影。
ついこの間、初めてしゃべって、友達になったばかりだというのに、突然の訃報。予想もしなかった。
彼女の母親に、いつなくなったのか?聞くと・・・あの同窓会の日。
「同窓会の後、事故にあったんですか??」と聞くと、お母さんは、びっくりして、
「同窓会には、行ってないですよ・・・」と。
「え????」頭が真っ白になった。
あの娘、同窓会に行ってくるね。と家を出たんです。でも、その同窓会をする場所に行く前に、前方不注意の車にはねられて、そのまま意識不明の重体。
救急車で運ばれて、病院で、4時間意識不明の状態が続いて・・・23時35分に、息を引き取ったんです。
言葉が出なかった。
「あの・・・もしよかったら、携帯見せてもらってもいいですか?」
「ええ、かまいませんよ」
受け取った携帯のアドレス帳には、しっかりと私の名前。でも、あるはずのメールはなかった。
11時過ぎ、私が送信したはずのメールがない。そして、彼女が送信したはずのメールもないのだ。
改めて 自分の携帯のメールを見ると・・・彼女と最後にやり取りしたメールは残っている。
どうしよう・・・・この事実を彼女のお母さんにするべきなんだろうか??
悩んだ結果・・・話すことにした。
「あの・・・気を悪くなさらないでください。実は、同窓会で、私、彼女を見ているんです。
料理も飲み物も食べなかったけれど、とても楽しそうにしていました。それから・・・これ」
携帯のメールを見せた。
「これ、同窓会が終わった後、彼女とのメールのやり取りをしたんです。実際、私のアドレスは、あの時に教えたのが初めてで、知らないはずなんです。でも、彼女の携帯のアドレス帳には、ちゃんと入ってるんですよ。メールは残っていないけれど・・・」
彼女のお母さんは、ポロポロと涙を流した。
「あの娘、同窓会に行ったんですね。
よかった。ものすごく楽しみにしていたんですよ。途中から、転校してきて、友達もちゃんとできないまま、卒業しちゃって、同窓会に行っても、楽しめないんじゃないか??って思ってたんだけど、ニコニコしながら、行ってくるからって言うから、行かせたんだけど。
あの娘がなくなった時、やっぱり行かせるんじゃなかったなって、ものすごく後悔したことは事実なんです。でも、あの子、楽しかったって・・・返事したんですよね。」
「あ、そうだ! 写真も1枚だけですけど、一緒に撮ったのが・・・ほら!これ!」
そこには、満面の笑みで、うつる彼女の姿があった。その写真を見て、彼女のお母さんは、泣き崩れた。
「信じてもらえるかどうか?わからないですが、彼女は、ちゃんと 同窓会に一緒にいたんです。」